【移住体験ツアーレポート】池田町の秋を味わう4日間の旅
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あづみ野池田町の秋を味わう~ローカルライフの豊かさにふれ、地域との距離が近づく4日間の旅~レポート2025
空気が澄み、晴れた日には北アルプスの稜線が秋空にくっきりと浮かぶ9月下旬。ローカルな暮らしに関心を持つ6人が、長野県池田町に集まりました。旅のテーマは「ローカルライフの豊かさにふれる」。
今回の4日間の旅は、観光地をめぐるのではなく、町の人と同じ時間を過ごし、食べ、働き、祭りに入り込むことで“暮らしの内側”に触れることを目的として、池田町総務課移住定住係とからびな旅行社(株式会社4DeeR)の共催により実施しました。

1日目:オリエンテーションとブドウ畑の午後
午前11時、池田町ハーブセンターに集合した参加者は、あづみ野池田クラフトパーク内の創造館へ移動。迎え入れた矢口町長の、最初の言葉はこうでした。
「池田町は課題もありますが、それ以上に人とのつながりが根づいています。」
形式ばらない語りかけに場がほどけ、自己紹介では“発酵が好き”“山と仕事をつなげたい”“農的な暮らしに憧れている”など、それぞれの思いが共有されました。
昼食は先輩移住者・田中さんが営む「ホタルカレー」。美味しいカレーを食べながら、「隣に座った人と自然に話せた」など、初日から参加者同士の距離が近づいた様子がうかがえました。初対面の緊張は、北アルプスを望む景色と秋風に溶けたようです。
午後は、クラフトパーク近くの丘陵地にあるワイン用ブドウ畑で収穫体験。一房ずつ丁寧に切り取ったブドウは、後にワインとして生まれ変わります。指導してくださったのは、ワイン用ブドウ栽培と醸造を営む「ドメーヌ・ヒロキ」の横山さん。収穫後、ワイナリーに移動し、ワインを試飲します。「畑の空気ごと飲んでいるみたい」と笑う参加者もいました。
夕方になって、1日目の宿「民宿山想」にチェックイン後、すずむしの鳴き声が響く隣村の温泉「すずむし荘」で汗を流し、夜は「手打ちそば かたせ」で夕食を兼ねた交流会。話が盛り上がります。
「町の人と飲みながら話せるなんて、とても貴重ですね」と語る参加者。「移住者というより、ただの“飲み仲間”として迎えられている感じ」という言葉に、周囲も大きくうなずいていました。池田町が一気に身近に感じられた夜になったに違いありません。
矢口町長と一緒にツアー最初のオリエンテーション
ドメーヌ・ヒロキさんのワインを試飲 ※有料
北アルプスを望みながら、ワイン用ぶどう収穫体験
夕食を兼ねた交流会、地元の料理とお酒を味わいました
2日目:ハックルベリー畑と発酵、カミツレの香り
翌日は素晴らしい北アルプスの山並みが眺望できる「民宿山想」のオーナー坂井さんとの話が弾んだ朝からスタート。
その後向かったのは「花とハーブの里 ガーデンハックルベリー生産者の会」の畑。収穫前に会の代表の瀧澤さんから、ガーデンハックルベリーの優れた効能をお聞きしました。「手間はかかるけれど、子どもたちやみなさんの健康のためと思って栽培しているのです」との話に農的な暮らしに関心のある参加者は聞き入ります。その後、畑に移動し、指導を受けながら紫に実った果実を一粒ずつ手で摘み上げます。収穫後は、会のお母さんたちのおもてなしを受け、おやつとハックルベリーソーダをいただきました。参加者からは「ただの体験じゃなくて、一緒に暮らしの一部に入れてもらっている感じ」と声がこぼれました。
昼食は「暮らしと発酵 おはこ」へ。
味噌や糀を使った料理を囲みながら、店主の西山さんか。移住の経緯や古民家の購入からリノベーションのこと、そしてお店のオープンまでを語っていただきました。熱心にメモを取る参加者の姿から、移住への本気度がうかがえました。
その後、歴史ある造り酒屋「福源」で酒づくりの現場に触れたあと、東山と呼ばれる中山間地に向かいカミツレ研究所へ。天然のカモミールを使った入浴剤の製造現場を見学し、併設の「八寿恵荘」でカミツレ湯に浸かりました。「肌が喜んでる」「香りを家に持って帰れそう」と湯上がりに笑顔が重なりました。
100年以上の伝統ある町中の食堂「蕎麦と肴 双葉」で夕食をいただいた後に、相道寺・半在家地区の秋祭りへ合流。舟形の山車を地元住民の皆さんと一緒に曳き、掛け声を合わせるうちに、いつの間にか役割の境目がなくなっていました。「お客さんじゃなく仲間として迎えられた。声を掛け合ううちに、心の距離がなくなった気がする」と誰かが言うと、同意の頷きがいくつも続きました。
民宿山想の絶景前で(坂井さんたちと)
ガーデンハックルベリーの収穫体験
カミツレ研究所へ工場見学
夜は秋祭りで舟曳き体験
3日目:町を歩き、香りを詰め、幻想的な祭りに酔いしれる
2日目と3日目の宿として滞在した「れんさんのゲストハウス」では、オーナーのレンさんとの会話がはずみ、「住む人の話を聞くと、選択肢がリアルになる」という声が聞かれました。
3日目は、ガイドマスター・米山さんの案内による町歩きからスタート。古い家並みやかつての養蚕の痕跡、歴史と今が混ざる暮らしの景観に触れると「この町には時間が幾層にも重なっている」とつぶやく人がいました。
昼は「Cafeからびな」で伝統的なお祭りの食事を楽しみました。「観光メニューじゃない食事がこんなに落ち着くとは思わなかった」との声に、提供する側も嬉しくなりました。
午後は池田八幡神社例大祭の二丁目の山車曳航に参加。見物ではなく「曳き手」として綱を握ると、汗と声が自然に混ざり合い、参加者からは「暮らす人の側に立ってみると、祭りの景色も音も変わる」との感想がありました。
その後cafeからびなに戻り「ハーブを使ったクラフトワークショップ」を体験。
地元のハーブ愛好家の女性グループの指導を受けながら、ラベンダー、ローズマリー、レモンバーベナなど町産のドライハーブを自由に詰めて、地元の植物で染めた布で包んだ香り袋をつくりました。
そして、夜は八幡神社例大祭の宵祭りを見学。提灯の光が幻想的な山車、勢いのよい若い衆の掛け声、太鼓と笛の音が夜空に響く中で、「町そのものが呼吸してるみたい」と誰かがぽつり。同行したスタッフの感想です。「祭りの場で町の人が参加者に“また来いよ”と声をかけてくれた瞬間、このツアーの本当の目的、人と人がつながること”が実現していた町外から来た6人が、町の熱に自然と溶け込んでいく夜でした。
ガイドマスター米山さんと町中探索

山車曳航に参加、地区の皆さんと一緒に町中を曳いて歩きます
香りに集中したサシェ(香り袋)づくり
夜ご飯場所にはサプライズで矢口町長が!町長の手作りおにぎりをいただきました
4日目:別れではなく“次の入口”
最終日は、ゲストハウスのリビングで車座になり、旅を振り返りながら、それぞれの思いを口にしました。
「一番印象に残ったのは景色じゃなく人だった」
「規模感が自分に合っていると感じた」
「移住って言葉より、仲間になりに戻ってくるイメージが近い」
「春になったらまた畑に戻ってきたい」
「次は誰かを連れてきたい」
さまざまな声が溢れました。
4日間の振り返り。皆さんの声に耳を傾けます
最後にみんなで集合写真
この旅が残したもの
4日間を共に過ごした6人は、帰る頃には「いつかは移住したい」「もう一度戻る理由ができた」と口にしていました。ハーブの香り、土の匂い、食事の温かさ、夜に響く太鼓の音。そうした一つひとつが、参加者の中に“暮らしの手触り”として残ったようです。
そして、町の人からの「また来てね」という言葉は4日の間、何回も飛び交い、それがこの旅の温度そのものになっていました。ツアーの最後、いよいよ解散というとき、参加者は分かれるのが何とも名残惜しそうでした。このツアーは、池田町を知ってもらっただけでなく、新しい仲間を見つけた旅になったようです。それは、景色や文化だけでなく、「人とのつながり」を大事にしている町にとって何より嬉しいことでした。
これから
ツアー後のアンケートでは、6名全員が「とても満足」と回答し、「池田町で暮らすイメージができた」と答えていただいています。また全員が、「移住に対する不安がほとんどまたは一部解消された」と回答しています。
今回の旅は終わりましたが、「関係の積み重ね」は、はじまったばかり。
町では10月以降も池田町に移住を考えている人に向けた半日の移住案内ツアーを実施しています。また、お試し住宅もスタートし、みなさんとのつながりを作る企画も考えています。
「次に来るときは“おかえりなさい”って言いたい」そう語ったのは、ハーブ愛好家の女性の方でしたが、ツアーを企画した町の職員も「からびな旅行社」のスタッフも皆同じ思いです。池田町は、訪れる人を迎えるだけでなく、“帰ってこられる町”として在りたいと考えています。
「ただいま★池田町~小さな町で大きな幸せをみつけよう~」

お問い合わせ
池田町(いけだまち)総務課 移住定住係
電話: 0261-62-3131
ファクス: 0261-62-9404
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